オフィスにおける「トイレ」のデザインの重要性と事例

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • Clip to Evernote

オフィスのデザインにおいてトイレのデザインまで考える必要はあるのだろうか?答えはYesである。

はたらく未来研究所が行った、働きやすいオフィスのあり方についての調査「女性社員と経営者に実施した意識調査」によると、理想のオフィスに望む第1位は、女性社員の62%が挙げた「リフレッシュスペースの充実」となっている。実際、休憩室や喫煙室、トイレ、更衣室、食堂といったリフレッシュスペースの現状に対して、女性社員の25%が「とても不満」、40%が「やや不満」と回答。他社のオフィスとの比較で感じたことを自由回答で求めると、「休憩室が広くてくつろぎやすく、トイレがきれいなのがよい」などの意見が上がった。女性の働き方が見直されている現在、女性が重視するリフレッシュスペースの見直しは大事なポイントである。

業務の効率などに直接関連する設備ではないが、オフィスの善し悪しを判断する条件として「トイレ」を重視している人は実は少なくない。こうした風潮を受け、「汚い」「暗い」「臭い」などマイナスイメージの強いトイレへの改修を要求する企業や、老朽化ではなくテナント誘致を目的にトイレのリニューアルを検討するオフィスビルも増えている。

また、働く人だけでなく、働く前の学生においてもトイレのデザインが重視されるデータもある。つながるオフィスの調査で、学生が求めるオフィスの設備はという問いに対し、ダントツ1位で「きれいなトイレ」が65%を占めた。これは女性の支持が大きいと考えられるため、働く女性が増えたことも原因として考えられるのではないか。また、就職後のやる気は、オフィス環境によって左右されるかという質問に対して、やる気が左右されると答えた学生が92.5%と高い数字となっている。そして、やる気が向上するオフィス環境の条件として、「オフィス内の清潔感」が62%で1位となった。

このように実際に企業で働く人にとっても、これから働く学生においてもオフィスのトイレデザインを見直し、重視することは、非常に大切なポイントといえるだろう。

 

トイレのデザインを検討する上での基本情報

オフィスのまとめの記事によれば、トイレのデザインを検討するにあたり、トイレの数は重要なポイントであると書かれている。その理由としては、オフィスのトイレの数は、労働安全衛生法の事務所衛生基準規則によって定められているからだ。この規則は労働者に快適な労働環境を事業者に提供することを目的としたもので、労働空間となるオフィスの広さや室温、トイレの数などあらゆる項目を細かく規定している。そのトイレに関する規定は第十七条にあり、男女別トイレを設けることや、個室や手洗い設備の設置と並んでトイレの数も決められている。

男性用個室は同時に就業する男性労働者60人以内ごとに1個以上、男性用小便器は30人以内ごとに1個以上、女性用個室は同時に就業する女性労働者20人以内ごとに1個以上が最低限用意しなくてはいけないトイレの数として規定されている。

この規定されている数は、最低限設置しなければいけない数であり、必ずしも十分な数とは言えない。実際のオフィスのトイレ利用状況を考慮してみると、この規定の数では少なすぎる。事業者として快適なトイレ環境を目指すなら、法律上の最低戸数を上回るトイレ数が必要である。

トイレの待ち時間が長くなれば用達に取られる時間が長くなり、業務効率はそれだけ悪化する。社員の快適性を確保しながら業務効率も保つためには、法律で定められる最低数の3~4倍程度のトイレ数が必要だ。

 

綺麗なトイレのデザイン事例

実際にオフィストイレのデザインを考える際に参考にして欲しい綺麗でおしゃれなトイレを見てみよう。

 

出典:事務所デザイン
デザイン会社:株式会社ワーク

グラスバレー株式会社では、男性と女性のお手洗いのデザインを異なるデザインで仕上げている。男性のお手洗いはオフィスよりも濃い木目を使い、洗面台や小便器も新しく清潔感のあるものにしている。

 

出典:事務所デザイン
デザイン会社:株式会社ワーク

出典:事務所デザイン
デザイン会社:ユニオンテック株式会社

株式会社 WIND-SMILEのお手洗いは、会社の他のフロアのデザインと統一性を出しており、カラフルな要素を取り入れてお客様を楽しませる工夫をしている。会議室の椅子やエントランスも赤で統一されているため、お手洗いの壁にも赤を使い、明るい雰囲気を出している。

 

出典:事務所デザイン
デザイン会社:株式会社ミダス

銀座ウォールビルは、銀座という街にふさわしい艶っぽさを交えた明るく存在感のあるエントランスや、共用部もダークなウッド調とダウンライトによる洗練された雰囲気を強調したデザインとなっているため、お手洗いも暖かな間接照明のあるホテルライクな空間によって、ハイグレードさを強調した雰囲気を演出している。

 

このように、直接業務には関係ないと思われるトイレのデザインであるが、重視してオフィスデザインを考えると、業務の効率も上がり、より良い人材確保にもつながってくるだろう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • Clip to Evernote