オフィス移転に向けた4つの基本的な準備項目 - オフィス移転のキホン

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オフィス移転はその会社にとって、成長と共に次の一歩を踏み出すために重要なプロジェクトとなります。しかし、移転に向けて何から着手するべきか、住居の引越しなどと何が違うのか、など戸惑うことも多いでしょう。今回は、スムーズなオフィス移転を行うために、移転先の物件を選ぶ前に決めておくべきことや確認しておくべきポイントを見ていきます。

 

現在のオフィスの契約状況の確認


出典:http://www.trbl.biz/archives/category/money

まず一番最初に行うことは、現在利用中のオフィスを解約するにあたって、契約状況の確認をします。確認するべき項目は以下の4点です。

 

1.解約予告の期間はいつまでか

オフィスを解約する場合、ビルの管理会社やオーナーに「解約予告」をすることが義務付けられています。一般的に解約希望日の3か月~半年前までには予告をするべきとされています。解約予告期間を守らなかった場合、トラブルになりかねないので早めの連絡を心がけましょう。

 

2.どこまでの原状回復が必要か

「原状回復」にかかる期間も確認する必要があります。原状回復とは、内装や設備などを入居時の状態に戻すことが基本ですが、どこまでの原状回復を求められているのかについてトラブルが発生することがあります。事前に契約書やビルの管理会社やオーナーに確認しておきましょう。

 

3.業者の選択が可能か

原状回復のための業者が指定されている場合もあります。業者が選択できるのかどうかも合わせて確認しましょう。原状回復の工事は、一般的には契約期間内に完了させなければなりません。それにかかる期間も考慮して解約希望日を設定することが必要です。

 

4.預託金の返還時期

預託金はどの時期にいくら返還されるのかについての確認も必要です。返還時期は、オフィスの明け渡し時や、その3又は6か月後というところが多いようです。

 

 

オフィス移転の目的の明確化

不便になってきたから、手狭になってきたからと、なんとなく移転について考え始めるケースも多いですが、移転の目的と優先順位はしっかり明確にして、社内で共有をしておくと、それ以降のやり取りはスムーズになります。一般的には移転の目的は以下の5つに大別されます。

 

1.広さの拡張

移転の目的として一番多いのは、事業拡大のため人員が増えてきて、現状のオフィスが手狭となったために、広いオフィスに移りたいという目的でしょう。この場合は、今後数年間にわたる事業拡大予測から人員の増加人数を目安として考えたり、部門の構成などを入念に予測することが重要となってきます。

 

2.固定費削減

逆に、事業の縮小や、事業形態の変化によって、固定費を削減するために移転をする必要があるケースもあります。この場合は少しネガティブな状態ともいえるので、今後の人員変化の予測がなかなか難しいかもしれないので、まずは削減するべき費用の目安をしっかり検討しておくことが重要となってきます。

 

3.老朽化

現在のオフィスを長年利用していたケースや、そもそも最初から古かったケースなどもあるとは思いますが、建物や設備の老朽化が耐え難くなってきたために移転をするケースもあります。この場合は、最低限の築年数や、設備上の絶対にクリアするべきポイントを明確にして社内で共有しておきます。

 

4.利便性

従業員の構成が変わったり、住居が変わるなどして従業員から見て立地が悪くなってしまうケースもあるでしょう。また事業が変化し、従来のお客様と現在のお客様のロケーションが大きく変わったケースなどで、お客様先へのアクセスが大きな足枷となってしまう場合もあります。この場合は具体的な路線や、地域を明確にしていく必要があります。

 

5.企業イメージ

ロケーションは、その企業のイメージや従業員のモチベーションにも直結します。従来はそれほど気にならなかったそのような企業イメージ・モチベーションについて改善を図るために移転を行うケースも多くなってきています。その土地や街の持つイメージから周辺の街の他者からのイメージなどを総合的に考えていく必要があります。

 

代表的な移転の目的を紹介しましたが、これらの目的の中での優先順位を明確にすることで、物件選びやデザインの選定などを決定するための条件が明らかになり、スムーズに計画が進みます。

 

 

オフィス移転先の条件を洗い出す

オフィス移転の目的が明確になると、移転先を検討するための条件を洗い出すことができます。移転先物件を決める前に、その条件を出来る限り具体化していきましょう。

例えば条件として考えられるのは、オフィスのレイアウトや広さ、賃料や初期費用などが真っ先に上がるでしょう。また、オフィス特有の条件としては共用設備の充実度や入館時間・休館日、メンテナンスや清掃などのサービスレベルなども重要です。さらに企業のイメージアップの場合は、ビルの外観やエレベーターやトイレなども条件として考慮してもいいかもしれません。

しかしここで重要なことはそれぞれの条件の優先順位です。先の項目で明確にした目的に沿って、目移りせずにしっかりと条件についても優先順位付けを行ってください。

 

<参考>

オフィス特有の物件探し6つのチェックポイント - オフィス移転のキホン

 

 

移転スケジュールの作成

オフィス移転の最後の準備は移転に関する大まかなスケジュール作成です。この段階まででは詳細なスケジュールを組むことは難しいですが、移転の時期を大枠で決めた上で、移転までにやるべきことの概要をスケジュール化する必要があります。

スケジュール作成の際に最も気をつけたいのは、住居の場合と異なり、重複期間なく契約を移行するこはほぼ出来ません。必ず契約に重複期間が発生してしまいます。それは、原状回復工事は契約期間内に行わないといけないためです。また、新オフィスについてリノベーション工事を行う場合は、こちらも契約期間内に行う必要があるため、この2つの工事期間において契約は重複することになります。

また、新しいオフィスの契約を行う前に、現オフィスの「解約予告」を行うことはリスクが高くなります。そのため、少なくとも新オフィスの契約をしっかり行うまでは、解約予告は行わない方が安全です。ただし、前述したように解約予告には期限があるため、その期限はしっかり確認した上で対応していきます。

解約予告とオフィス契約は規模などにもよりますが、移転の2~4ヶ月前に完了し、各種の業者選定に移ります。引越し業者、原状回復の工事業者、リノベーション・施工の業者など、それぞれの目的に応じて選定していきます。

また、受け渡しの際、電話やFAX、コピー機、その他備品等新たに必要となるものをリストアップしたり、移転案内状の送付や各官庁への届出に必要なものをまとめたりと、事務作業がたくさんあります。

このように、オフィス移転と、原状回復工事や、新オフィスのリノベーション工事などは、計画性を持って進めていく必要があります。

 

 

今回紹介したオフィス移転に関わる4つの基本的な準備項目ですが、最終的にはスケジュールに落とし込むことがゴールとなります。ここまで決めておけば、そこまで慌てることなく移転がスムーズに進みます。最初に決定した目的を最後まで念頭に置いて、ブレないように心がけることが大切です。オフィス移転を無事に行うために、これらのことを考慮して、社内でじっくり話し合って進めていきましょう。

 

 

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