経営者と従業員の意識の違いから働きやすいオフィス環境を考える

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経営者と従業員は立場が大きく異なるため、意識や考え方も大きくことなっている。経営者は従業員に対し、自分と同じような能力や考え方を求めがちであるが、実際はそれ自体が間違っているケースが多い。今回は、経営者と従業員の意識の違いを理解し、そこから企業全体として働きやすいオフィス環境とはどのようなものかを考えていきたい。

 

では実際に経営者と従業員ではどのような意識の違いがあるのだろうか。ソニー生命保険株式会社は、2016年2月29日~3月1日の2日間、20歳以上の経営者・会社役員と20歳以上の会社員に対し、「経営者と社員の意 識比較調査」をインターネットリサーチで実施し、1,000名の有効サンプルの集計結果を公開している。(調査協力会社:ネットエイジア株式会社)

 

時間や仕事の質などの基本的スタンスは共通、その他は大きく異なっている

仕事において大切にしていることを聞いたところ、経営者では、「時間を守る」が57.0%で最も高く、次いで、「正確・丁寧に仕上げる」48.0%、「利益をあげる」47.6%、 「常に情報を収集する」42.2%、「何事もリスクを見込んでおく」40.6%が4割台で続いている。

経営者と従業員とを比較すると、「利益をあげる」、「常に情報を収集する」、「何事もリスクを見込んでおく」は、経営者(47.6%、42.2%、40.6%)が従業員(23.4%、24.6%、25.4%)よりも10 ポイント以上高くなっており、経営者は常に利益をあげるために情報を収集し、リスクを見込んで仕事を行っていることがわかる。また、経営者も従業員も、1位は「時間を守る」(57.0%、48.6%)、2位は「正確・丁寧に仕上げる」(48.0%、42.6%)だった。立場に関わらず、約束の時間や締め切りを守ることと、丁寧で正確な仕事を行うことを大切にしているということが読み取れる。

従業員の3位を占めているのは、経営者の「利益をあげる」とは異なり、「上手くコミュニケーションをとる」の39.4%であり、経営者が4割を占めている項目に関しては、すべて最下位となっている。この結果からもわかるように、会社全体を考えている経営者に比べると、従業員は会社のことよりも自分自身が仕事をする上で大切なことを重視していることがわかる。

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経営者と従業員は大切にしているコミュニケーションのベクトルが異なる

ビジネス上のコミュニケーションにおいて、どのようなことを大切にしているかという調査に対し、経営者では、「相手の話をよく聞く」53.6%と「あいさつをしっかりする」52.4%が5割台で最上位となった。コミュニケーションにおいて、聞く姿勢とあいさつを大切にしている経営者が多いようだ。また次いで、「相手の反応を見ながら話す」39.4%や「相手の側に立って話す」36.2%、「相手の目を見て話す」32.4%、「具体例を用いて話す」30.2%といった、 話し方に関するコミュニケーション術が3割台で続いている。

経営者と従業員とを比較すると、「あいさつをしっかりする」、「具体例を用いて話す」、「自分の失敗談なども隠さず話す」は、経営者(52.4%、30.2%、23.6%)が従業員(40.2%、19.2%、13.6%)よりも10ポイント以上高くなっており、他の項目に関しても経営者が全て上回る結果となった。

また、ビジネスの人脈をどのように広げるかということに関して、経営者は「ビジネス上関係がなさそうな人ともつながるようにする」33.8%に対し、従業員は13.4%と大きく差が見られた。さらに経営者は「社外の知り合いと飲みにいく」30.8%であるのに対して、従業員は17.4%とこれも差があった。一方で、社員は「社内の仲間を増やす」27.0%であるのに対し、経営者は13.8%だったのである。

これらからわかるように、コミュニケーションに関しては、やはり従業員に比べて断然経営者の方が大切にしており、さらには、社内よりも社外や様々な人々との繋がりを大切にしていることがわかった。ビジネスで成功するためには、やはりコミュニケーションとそれに伴う人脈は必要不可欠である。

 

意識の違いから考える働きやすいオフィス環境とは

オフィス環境を作る際に、やはり経営者の意向や視点というのは非常に影響を与えるケースが多くなってくる。しかし、これらの経営者と従業員の意識の違いをしっかりと考えたうえで、従業員目線でのオフィス環境の構築というものを経営者は考えていく必要があるだろう。一番気になったのは、やはり社内でのコミュニケーションやチームビルディングを重視している従業員と、コミュニケーションのベクトルが社外に向くことが多い経営者という構図だ。近年では社内にオープンスペースを設けて社内の風通しをよくする取り組みが増えてきているが、この調査結果を見ると非常に理にかなった取り組みということが分かる。

ただ、あいさつをしっかり行うことなどをはじめとしたコミュニケーションの方法は、経営者の方が意識が高い傾向があるため、そのようなオープンスペースをオフィスに用意するだけでなく、あいさつを行うことや相手の話をしっかり聞くこと、など基本的なルールの励行などはオープンスペースを活性化させるためにも重要になってくるだろう。

 

この調査の中から、主に仕事のスタンスとコミュニケーションにおいて大切にしてきたことの2軸で、経営者と従業員の意識の違いを見てきた。経営者も従業員も同じ仕事をする立場としては、時間を守ることや、仕事を正確に丁寧に行うこと、相手の話をしっかり聞くことや挨拶など、社会人として基本的なことは共通していた。しかし、立場や責任が異なるため、会社全体の利益やリスクのことについて考えている経営者とは異なり、従業員は会社の利益などよりも自分自身が仕事を成功させるために必要なコミュニケーションなどを大切にしている。従業員は仕事上周囲との関係が重要であると考え、社内の仲間を増やすことを大切にしている。これらのことを理解することで、従業員にとってより快適なオフィス空間というものを構築していくことができるのではないだろうか。

 

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